歯を失ってしまった場合に取るべき対処法

歯の欠損のデメリット

皆さんは虫歯治療で抜歯をされたことがありますか?抜歯をしてしまうと二度と歯は生えてこなくなります。奥歯など目立たない場所であれば欠損したまま放置しようと思う方もいるかもしれません。

実際一本失っても短期的には生活できますが放置しておくと抜けてあいたスペースに向けて歯が少しずつずれ、歯並びの乱れを引き起こしてしまいます。また見た目や機能の問題だけではなく身体的な問題、例えば認知症や顎関節症などの深刻な病のリスクが高まる可能性もあるのです。

歯を失った場合は早めに治療するようにしましょう。

歯の欠損の原因第1位!!歯周病

歯周病は、日本では歯を喪失する原因の第1位です。虫歯が進行しての抜歯は欠損理由としては第2位です。

歯周病は軽度の段階では自覚症状があまりなく、知らず知らずのうちに症状が進みます。最初の症状として、歯茎からの出血や、歯茎の違和感などがありますが放置して進行してしまうと、歯茎から膿が出たり、歯がぐらぐらしてきたりして最終的には歯が抜けてしまうという恐ろしい病気です。

歯が抜けてしまった場合、実際に起こり得る症状

見た目が悪くなる

前歯の欠損が目立つのはもちろん、奥歯であっても歯を失うとその部分の頬がこけたり顎がたるんでしまったりして、顔貌が変わってしまうことがあります。

人の印象を決める重要な要素である歯。長年歯がない状態で過ごしていると、頰がたるみ、シワの原因になることはもちろん、口を開けたときに周りの人はあまり良い印象を持ちません。

発音障害

発音が不明瞭になり、上手く話すことが出来づらくなります。実際に歯がない部分があると、そこから息が漏れたような発音になってしまい、聞き取りにくくなってしまいます。

他の歯への影響がでてしまう

歯を失って空いたスペースに隣の歯が倒れ込んできたリ、咬み合う歯が伸びてきたりして、歯並びや咬み合わせが乱れてしまうことがあります。そういった部分は隙間ができるので、汚れが溜まりやすくなり、それが虫歯や歯周病の原因になります。元々これらが原因で失った歯が、他の歯を失うリスクとなってしまうのです。

嚼困難から及ぼされる影響

上下の歯でしっかり咬むことで、脳の活性化にもつながります。歯を失うことで咬めなくなると、脳への刺激が不十分になり老化にもつながります。

食べ物を歯で噛み砕くことを『咀嚼』といいます。歯がない部分があると、食べ物を食べるときに歯のある部分だけで頑張って咀嚼しようとします。そうすると、顎の骨がずれだして顎関節症を引き起こすリスクが生じてしまいます。

また以前インプラントとアンチエイジングのコラムでも触れましたが最近よくメディアで取り上げられているのが、認知症予防に『咀嚼』が大きく関わっているということです。咀嚼することで脳を活性化し、それが認知症予防に繋がります。

つまり、「歯がない=咀嚼しづらい=認知症リスク大」ということなのです

実際にある研究で、歯がない人は歯のある人に比べて、認知症リスクが約1.9倍高くなるという結果が出ました。

歯が無くなったところはどうするの??

歯科医院では欠損部を人工的に補う治療を行います。欠損した歯の部位や本数、噛み合わせの関係などによって入れ歯・ブリッジ・歯の移植・インプラントのいずれかの方法、あるいはこれらの組み合わせで修復します。
それぞれの治療法には必ず利点・欠点があります

また、患者さまの思いもありますので、どの治療を選択するかは慎重に決める必要があります。不明な点については遠慮されずに相談することをおすすめします。

取り外し可能な義歯による治療

部分入れ歯

数本の歯を失っている場合、部分入れ歯によってその欠損部を補うことができます。
クラスプと呼ばれる金属で人工歯を両隣の歯に固定するため、取り外しが可能です。

総入れ歯

不幸にもすべての歯を失ってしまった場合、総入れ歯で治療します。
総入れ歯は、人工の歯を取り付けた義歯床を、歯肉(歯ぐき)やその周囲で直接支えます。

入れ歯のメリット

比較的短期間で治療が可能で、留め具をかけるためほんの僅かに歯を削る必要がありますが、ダメージが残るほどではなくごく少量です。

入れ歯のデメリット

安定性に欠けるため噛み応えが悪くなり、固い物が食べにくかったり、噛んだ時に歯ぐきに痛みが出ことがあります。慣れないうちは違和感を感じやすいです。

ブリッジ(固定式)

1本~数本の歯を失った箇所の両隣の歯を支えにして歯の欠損部を補う方法です。
両隣の歯を幾分か削って支台とし、そこに一体型の連結冠を被せます。連結冠はセメントで支台に固定されるので、取り外すことはできません。

ブリッジのメリット

両隣の歯を土台にして固定させるので、安定性が高くズレたり外れることがありません。セラミックのかぶせ物を入れると見た目が美しくなります。保険・自費いずれにも対応できるので幅広い選択肢があります。

ブリッジのデメリット

両隣が健康な歯の場合、削らなければなりません。また少ない歯で多くの歯を支えるため、土台の歯に対する負担が大きくなります。かぶせ物と歯肉の間に汚れが溜まりやすくなるので むし歯や歯周病のリスクが高くなります。また欠損歯が3~4本以上になると適応できません

歯の移植

歯を失った場所に自身の余っている歯(親知らずなど)を移植して利用する方法です。

歯の移植のメリット

歯根や歯根膜(歯槽骨に歯を固定する繊維質の組織)などの歯を支える組織を同時に移植できるので、移植する歯の根に健全な歯根膜があれば再び歯槽骨に定着します。つまり、しっかりと歯を固定して機能を回復することができるのです。

歯の移植のデメリット

利用する歯は移植の際に抜歯し、同時にその歯を埋入する手術をするので、患者さんの負担が大きくなります。移植後は、安定するまでワイヤーなどで隣の歯に留めたり、糸で歯肉に留めるなどの固定が行われます。固定期間は通常2週間から1ヵ月程度です。 また、予後が不安定なので、インプラントのように確実性を保障することが難しくなります。

インプラント

むし歯や歯周病、外傷によって歯を失ったり、先天的に歯がなかったりする場合、歯がない部位のあごの骨に人工の歯根を埋め込み、固定式あるいは取り外し式の義歯を取り付けて欠損部を補う治療法です。

インプラントのメリット

義歯の固定において、インプラントは最も優れた方法です。
歯を失った部分にインプラントを埋め込むので、残っている周囲の歯に負担をかけずに治療を行うことができます。

インプラントのデメリット

インプラントを埋め込むための手術を受ける必要があるため、全身状態がよくない場合には適用が難しいことがあります。
治療期間が長く、健康保険が使えないので治療費が高額です。また、天然の歯に比べると感染に弱いことも挙げられます。さらに、埋入部位の骨が痩せているなど十分な骨量がない場合、治療が困難になることもあります。

まとめ

上記の通り色々な治療法がありますが、メリットとデメリットをそれぞれ比較して検討すると私自身はインプラントがおすすめだと思います。予後が安定していて、欠損した歯以外にダメージが無いのはとても魅力的です。

一番のデメリット、費用が高額という点以外においては総合的に一番だと感じました。一番はご自分の歯を大事にすることですが、万が一の場合の心構えとしての知識があるといざという時あわてずに対応できるのではないかと思います。