歯の欠損にブリッジという選択肢
虫歯や歯周病で歯を失ってしまった場合の治療法として、インプラント治療以外には隣の歯を作ってかぶせる「ブリッジ」や取り外しの「入れ歯」があります。本日はブリッジについて、ご紹介させて頂きたいと思います。
歯のブリッジとは?
歯のブリッジとは歯を失った時、前後の歯を削って橋のように繋ぎ、2本の歯で3本の歯を作ることです。前後の歯を冠に被せるように削り、3つの冠が一体化したものを歯に付けます。前後の歯には1.5倍の噛む力の負担はかかりますが、噛む感覚は自分の歯のように噛むことができます。
ブリッジ、費用はいくらくらい?
保険適用の条件と費用
抜けた歯をブリッジで補う場合、保険適用の範囲であれば、前歯1本あたり約2万円、奥歯1本あたり約1万円と概算できます。これが費用の目安となります。ただし、保険が適用される治療には細かな規定があるので、まずそれを把握しておくことが大切です。適用の条件は歯の部位によって異なります。
- 1本または連続した2本の歯
- 前歯(1番目と2番目) ※連続して最大4本まで保険が適用される
- 支台となる歯に問題のないこと
- 両隣に歯のない一番奥の歯(7番目) ※5番目、6番目を支台にして、延長ブリッジにする
治療を施す場合、ブリッジをかける左右の土台となる歯に、最低2年間は問題がないという診断が条件となります。また使用する素材にも条件があり、ブリッジで白い素材の歯を入れられるのは、1番から4番目の歯までとなります。金属の本体に白い硬質レジンを被せたもの(硬質レジン前装冠)です。
保険適用時の費用のおおよその内訳
- 診断料 2500円から3500円程度
- ブリッジをかける歯の処置費用 3500円から5000円
- 人工歯の総費用 1万3000円から2万3000円程度
- メンテナンス費用 1000円から3000円程度
診断料やブリッジをかける歯の処置費用は、保険適用外の費用と比較すると、およそ10分の1となり、格段に費用が安くなります。人工歯の総費用は、自由診療で用いる素材によって比較対象が異なりますが、だいたい5分の1から6分の1くらいに抑えられるといえます。
保険適用外の費用
上記に説明した通り、保険の適用条件に合わない場合は、すべて保険適用外の自由診療となり、自費負担となります。自由診療の場合は、1本あたりの総額の目安は、45万円から50万円程度です。費用に幅があるのは、歯科医院による違いもありますが、主にブリッジとして使用する素材の違いにあります。素材の審美性や耐久性によって、費用が高くなっていきます。素材による金額の目安は下記の通りです。
- ハイブリッドセラミック 5万円程度
- メタルボンド 8万円から10万円程度
- ゴールド 10万円程度
- オールセラミック 12万円程度
ブリッジのメリット、デメリット
メリット
- 治療期間が短い
- 固定式なので違和感がすくない
- 保険が適用された場合、他の治療法に比べ安価にすむ
- 外科的な処置が不要
デメリット
- 健康な歯でも欠損した両隣の2本を削らなければならなず、削る量も多く、削った結果、耐久性が低下してしまう
- 固定された支台歯(支えになっている歯)には無理な力や負担がかかる
- 削った歯に痛みが出れば、神経を取る処置をする場合がある
- 歯肉との間に食べ物カスがつまりやすく、口の中が不衛生になりやすい
ブリッジを固定するには、最低でも2本の歯を削らなければなりません。歯が無くなった部分の両隣、隣接する2本の歯は、たとえ健康な歯でも方向を揃えて削る必要があります。2本の歯の向きが平行になっていないとブリッジがはまらないため、片方の歯に合わせるようにしてかなり歯を削らなければならない場合もあります。
また支えになった歯は、無くなった歯が負担していた咬む力も負担することになるので、咬む時により大きな負荷が加わるようになります。
インプラントと比較して
先日、入れ歯についての記事でもご紹介しましたが、インプラントは独立した人工歯を作り出す治療法ですから、他の歯に悪影響を及ぼすことはありません。 ブリッジは隣り合う健康な歯を削る必要がありますし、入れ歯は他の歯にバネをかけて人工歯を支えるため、バネをかける歯に負担がかかってしまいます。
インプランとはブリッジの欠点も補うことができますが、各治療法のメリット、デメリットを比較し、自分に合った治療法を探すことが重要だと思います。